池上彰の教養のススメ 社会的合意形成
- 社会的合意形成とは哲学の力で社会の争いを治めよい方向にみんなを導く手法のこと
- 二項対立に陥りそうな案件を「より創造的な方向に」うまく軟着陸させて、プロジェクトを前に進める、そのとき必要な「すすめ方」が社会的合意形成
- 合意のある状態があるとき、その前には合意のない状態がある
- 役割が違う部署があるために矛盾した政策が行われてしまうことがある
- 省庁ごとどころか省庁内での合意形成すら難しい
- 思想的なレベル、ややもすると机上の空論になりがちな話を、実践的なレベル、目の前の川をよりよい環境にして、みんなが幸せになる方法を具体的にあみだしていく、そんなプロセスの形成
- 従来、ダム建設などにまつわる周辺住民への説明はアリバイづくりのようなものだった
- ご理解いただくための説明会
- 合意形成で重視したのは双方(河川事務所と参加住民)の信頼関係の構築
- 場所を移す
- 事務所員どうしで話をさせない
- 厳しい意見を出しつつ、笑顔も見える話し合いの場が生まれる
- 正確な情報を伝えればいいということから、信頼の醸成に繋がる態度を見せるように変えたら、会話ができるようになった
- 科学的でわかりやすい説明を心がけているのにどうして理解されないのか
- 一人ひとりがなぜそのような質問をしたのか、厳しい言葉がその人のどんな人生経験や関心、心配事から出てきたのかを聞く
- 科学的合理性だけではない。意見を聞くときはその意見に至った背景・理由・経緯についてつねに聞く姿勢をもつ
- 対話集会木津川モデル
- 集会を進めながら対話の進行をデザイン
- スケジュールも臨機応変に
- 期日のみを目標とした運営をしない
- 手を上げれば誰でも参加できるしくみ
- 全員が責任を持って発言する体制
- 議事全てを公開
- 提案は提案書で、提案書は「前文+チェックリスト」で
- 対話集会は住民、河川管理者、進行役による、よりよい提案書を創るための協働作業
- 対話集会の成果は「提案書」+「進行役による報告書」による二段構え
- 集会を進めながら対話の進行をデザイン
- 下流と上流、右岸と左岸は、仲が悪い。利害が一致しない
- ライバルという英語はリバーからきている
- 近代以前の治水事業には柔軟な考え方があった
- エジプトはナイルのたまもの
- アスワンハイダムの事例
- 合意形成が必要な場所はそもそも複数の課題を抱えているところ
- 海岸のステークホルダーはサーファー
- 利害が異なる住民同士を同じテーブルにつけなければ話が先に進まない
- 賛成派と反対派はそもそも議論をしない
- 徹底的に「建前」で議論せよ。しからば「合意」に至らん
- 最初に考えるべきは話し合いの場とプロセスのデザインをどうするかということ
- それぞれの事案のステークホルダー=利害関係者の分析が非常に重要
- さらにステークホルダーの意見を把握する必要がある。英語でいうとオピニオン。関心、心配、懸念。意見の理由。インタレスト。インタレストは「利害」とも訳されるが「関心」「懸念」と訳そう
- 合意形成とは対立する「意見の調整」ではない
- 対立構造を露わにした上で克服する
- しっかり構造を認識することから合意形成が始まる
- 「反対」であってもその理由は各々で違うことがある
- 理由の来歴
- こんな時に頼りになるのが現地のコンサルタント
- コンフリクト・アセスメント
- どんな事業でも100人ぐらいのステークホルダーのリストを作り、意見、意見の理由、理由の来歴で分類する。
- 次にこの対立構造をどう合意に導くかのプロセスをデザインする。合意なしから合意ありに遷移する過程をデザイン。つまりこれが「プロジェクト」
- 順応的マネジメント
- 「結論ありきでない状態をめざすこと」こそが社会的合意形成の意義
- 計画を作ってから事業を実施するという形をあえて取らないこともある。
- 具体的なゴールは議論を進めながら作っていく
- 完全にオープンな場をつくる。コミュニケーション空間デザイン。
- 女性や子供をメンバーに入れると議論の質が高くなる
- ダイバーシティ
- 「本音」はいらない。「建前」をぶつけろ。建前が本音になる。
- 変わらないことも大事っちゃ大事。
- 弁証法。わざと反対意見や同意をぶつけて議論を深める。
- 合意形成は裁判で訴訟をして勝ち負けを決めるのとは違う
- 合意形成とは妥協ではない
- 結局勝ち負けの話になる
- 訴訟と妥協は一見真逆の結果を導き出すようでいて片方が負けになるという時点で似ている
- 合意形成とは妥協ではない。新しい意見の創造。
- だからクリエイティブでなければいけない。
- クリエイティブは物静かな少数派が持つ
- 合意形成をクリエイティブにするには、少数意見に目をつける。
- サイレントマジョリティ
- 少数意見の中に問題解決のアイデアが潜んでいる
- だから誰でも自由に発言できる場所を作る
- 参加しているけど黙っている人たち
- 意見があっても言わない人、意見がなくて言わない人、そもそも関心がない人
- その理由は?。コンフリクト・アセスメントはそこまで大切にする
- サイレントマジョリティには対立する多数派が思ってもいないアイデアがあるかもしれない
- その意見を掘り起こすことでみんなが納得するプロセスを作り上げるのが桑子さんの考える合意形成
- もし多数意見の間の調整に過ぎなければそれはただの妥協
- だから多数決も採らない
- 社会的合意形成の必要な場におけるステークホルダーは「特定多数」ではなく「不特定多数」だから。多数決が意見を代表するとは限らない。
- 困ったら「神社」を探せ
- 政治と議員は合意形成より「票」
- 「大明神」ひとりがいても合意形成はできない
- 原発問題で合意形成はできるか?
- 賛成と反対、対立の「構造」が揺らぎ続けている
- 向いているのは哲学を持った愛されキャラ
- 結局合意形成をするのは参加しているみんな
- みんなで合意形成をする喜びというのがあり、その喜びをステークホルダーで共有することが大事。
- 人と付き合うのが全然嫌じゃないことが大事
- 散々怒鳴られながら一方で妙に可愛がられるキャラも向いている